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2014年 12月 15日

写真フェスティバルのネットワーク

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 アートによって地域の活性化を目指す試みはここ十数年(あるいはもう数十年といっていいのかもしれない)のトレンドとなっている。そのなかでも、もっとも手軽に参加でき、展示も比較的簡単な写真は、フェスティバルとしての恰好の素材を提供している。世界各地で写真フェスティバルが次々と生まれては消え、現在でもそれなりの規模をもつものだけでも、100近くの写真フェスティバルを数えあげることができる。
 そうしたなか、フェスティバルの差異化と、協力関係をもとめて、いくつかのフェスティバルはネットワーク作りを推進している。その嚆矢となったのがフェスティバル・オブ・ライト(FOL)だろう。FOLは、フランスのアルルをはじめ、ヒューストンのフォトフェストや、様々なフォトフェスタで顔見知りになったフェスティバル関係者たちが集まって1994年からミーティングを重ねてきた。現在、アルル、ヒューストン、メキシコ、モントリオールなど、世界約20か国の30近くのフェスティバルが集まっている。FOLの目指すところは、メンバー間の協力と宣伝、スポンサーを得るための助言、良質な写真と写真プロジェクトを世界中に広めることなど。互助的で友好的な、ゆるやかなネットワークを生み出しているといえるだろう。
 このFOLのメンバーでもある、オーストラリアのヴィクトリア州にあるバララット・フォト・ビエンナーレが主導して、2010年には、オーストラリアとニュージーランドのあわせて7つの写真フェスティバルが協同し、アジア・パシフィック・フォトフォーラム(APP)を創設した。このフォーラムが目指すところも、アジア・パシフィック地域の写真家やプロジェクトを支え、相互に連携をとりながら協力することだ。年々メンバーが増え、8か国10フェスティバルを数えていた。
 今年の8月、APPのメンバーであるニュージーランドのオークランド写真フェスティバルのジュリア・ダ―キンが東川町国際写真フェスティバルを訪れる機会があり、東川フェスもAPPメンバーに推薦されることになった。そして、この12月4日に、アンコール・フォト・フェスティバル中に開催されたAPPメンバー総会をへて、東川フェスのAPP加盟が正式に決定した。今年は東川のほかにもマレーシアのオブスキュラ、オーストラリアのシマー・フォト・ビエンナーレが加わり、これによってAPP参加フェスティバルは、10か国13フェスティバルということになる。
 今後は加盟フェス同士の積極的な情報交換や、人的交流が期待される。来年度の東川賞国際写真賞は対象国がニュージーランドに決まっているが、このリサーチも、オークランド写真フェスティバルから協力をいただけることになった。また、来年度の写真甲子園ではアジア地域を対象とした、第一回高校生国際写真フェスティバルも開催予定だが、これについても、APP参加フェスの協力をあおぐことになるかもしれない。まだあまり詳しいことはわからないが、とりあえずのところは、まずまずの滑り出しといえるのではないだろうか。
 写真の町の30周年を記念する今年、東川町は「写真の町」に加え、「写真文化首都」宣言なるものを発表した。「写真文化首都」という途方もない提案に、聞いた当初は唖然としたが、遡って30年前に写真の町を宣言したときのことを考えると、それもおそらく突拍子もないことだったにちがいない。30年が経過して、日本の写真界での認知度は高まった。写真文化首都宣言も、これから地道に活動を続けていけば、30年後は何かしらの枠組みを作りあげているかもしれない、とまずは期待をこめてエールを送りたいと思う。
 また、東川町が目指しているのは海外との連携だけではない。APP参加に先行して、日本国内の写真フェスティバルのネットワーク作りもすでに試みてられていた。去る9月20日、21日の二日間に、東川町では東アジア写真文化国際フォーラムが開催された。そのプログラムの一部として、写真文化推進連絡協議会総会が開かれ、国内で行われている写真フェスティバルの関係者が東川に集まり、最初の会合をもった。
 参加したのは、フォトシティさがみはら、フォトネシア沖縄、塩釜フォトフェスティバル、写真の町シバタ、入江泰吉記念奈良市写真美術館の関係者などで、今後の連携の可能性について、話あいがもたれた。どのような関係が築けるかは未知数のところも多いが、来年の東川フェスにフォトネシア沖縄が協力して、ワークショップを開催することが決まっているなど、こちらも新たな展開が生まれるかもしれない。また、フォーラムでのシンポジウムの席上で、こうした国内のフォトフェスティバルをつなぐプラットホームとなるようなHPを、ぜひ東川町が主導で作ってもらえればという声も参加フェスティバルからあがった。「写真文化首都」にふさわしい案かとも思うので、早期に実現すればよいと思う。
 30周年を記念して、東川町はまた新たな一歩を踏み出そうとしている。それはそれで、見守っていくべき事柄だろうと思うのだが、その一方でどうしても気になることがある。新境地を追い求めるのもいいのだが、もう一度足元をじっくりと見つめ直し、本当に根付くべき文化のこと、土地と写真との関わりあい、写真の町としての在り方を、今一度振り返って考えてみる必要もあるのではないだろうか。それは、30年間で集まった収蔵作品のカタログを作るといった手合いのものだけで済まされる話ではない。(もちろん、それも必要だが。)年月を経ることによって、当然様々な蓄積はできていく。しかし、その蓄積を実のある「知」へと変えていくためには、一度踏みとどまってじっくりとした検証作業を経るべきだ。その対話のなかに人々をまきこむことによって、そこではじめて写真についての新しい文化が生まれてくるのではないだろうか。写真文化首都とは、外に向かって開かれていくものであるとともに、内向きに深く掘り下げていくことによっても生まれる、凹凸をもった磁場のようなもの。そうした特異点であろうとする意志と場を、たえず更新して生み出していく必要があるはずだ。



フェスティバル・オブ・ライト Festival of Light(FOL)
http://www.festivaloflight.net/index.php

アジア・パシフィック・フォトフォーラムAsia Pacific PhotoForum(APP)
http://www.asiapacificphotoforum.org/
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by curatory | 2014-12-15 14:58 | 写真フェスティバル


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