2016年 06月 03日
コロンビアと聞いてもコロンビア・コーヒーが頭に浮かぶぐらいで、ほとんど何のイメージも結ぶことのできないような馴染みのない国だった。小説家ガルシア・マルケスの国だと知って思い浮かべるのは、マルケスの短編小説「エレンディラ」に出てくる舞う蝶、バラの芳香が漂う海。幻想的でエキゾチックな風景だ。 コロンビアの首都ボゴタ。訪れた11月末は、暑くもなく寒くもなく、昼には少し汗ばみ、夜には少し冷え込むような、そんな内陸性の春の気候だった。南米大陸を南北に縦断する全長8000kmほどもあるアンデス山脈が国を貫いているため、コロンビアの地理、気候は変化に富んだものになっている。そのなかでもボゴタは、標高2600mほどの盆地にある高山都市。コロンビアでも快適に過ごせる町で、常春の都市と言われている。ボゴタをさらに東に行くとブラジルとペルーにつながるアマゾン川支流のジャングル地帯、西に進んで山を越え、太平洋とカリブ海の方に下って行くと、赤道が貫く灼熱の土地が広がっている。同じコロンビアといっても、急峻な山々やジャングル地帯に阻まれて、都市間の交通は飛行機がなくては困難を極める。マルケスの小説「百年の孤独」のなかで、小説の舞台となるマコンドの住人が、村ができた当初は外部からの来訪者も年に数えるほどしかなく、閉鎖的な社会を築いていたのもうなずける。 今回、コロンビアにはロサンゼルス経由で入った。乗り継ぎのための宿泊も入れて、日本から丸二日がかりの旅。黄金郷を意味するボゴタのエルドラド空港で、アメリカ出身の写真家で、数年前からコロンビア第二の都市メデジンに暮らし、コロンビアの写真家を紹介するウェブサイトfototazoを運営しているトム・グリッグスさんと落ち合う。このウェブサイトは、コロンビアの写真家について英語で参照できる希少、かつ信頼のおけるもので、今回の調査ではかなり役にたった。コロンビアの写真家の情報はスペイン語がほとんどで、英語で探そうとしても本当にヒットするものが少ない。コロンビアが観光やビジネスの場として注目されはじめたのもここ最近のことで、日本との関係も、2001年にボゴタで矢崎総業の現地法人副社長が誘拐され、2年後に射殺体で発見されてからはら撤退する企業も多く、日本では危険な国といった情報ばかりが目立つ。数年前にボゴタで隔年に開催されている写真フェスティバル「フォトグラフィカ・ボゴタ FOTOGRÁFICA BOGOTÁ」に招待された縁から今回のコロンビア調査を勧めてくれた笠原美智子さんの、ボゴタでほとんど危険は感じなかったというお墨付きがなければ、行ってみようという気持ちにはなれなかっただろう。 コロンビアの写真家については、トムのほか、フォトグラフィカ・ボゴタのディレクターであるヒルマ・スアレスさん、以前中国の平遥写真フェスティバルでラテンアメリカの写真家の展覧会を開催したことのあるオーストラリアのキュレーター、アレスデール・フォスターさん、アルゼンチンのフォトフェスティバル「Encuentros Abiertos-Festival de la Luz」ディレクターのエルダ・ハリントンさんらから推薦をもらい、ボゴタでの滞在中に数名の作家と会って作品を見せてもらった。 =
by curatory
| 2016-06-03 23:00
| 海外作家賞
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